第43回 修養講義
少し前になりますが、12月18日(日)に修養講義を実施しました。
久しぶりの開催でしたが、今回も多くの塾生が参加してくれました。
今回の講義内容は、夏目漱石の「こころ」の解説をしました。
日本で最も読まれてきた小説です。
高校で習いますが、残念ながら中学生でこころの内容を理解している人は少ないと思います。
当塾の塾生も中学生は全員が知りませんでした。
私もこころをしっかり読み込んだのは大学時代でした。
ただ、その頃でも筆者が伝えたい本質を理解することはできませんでした。
あれから自分の中で歴史を勉強し解釈し、大きな時代の変革を俯瞰的に捉えることで、少しはその内容を理解することができたような気がします。
今回塾生たちには、少しでも分かりやすく大まかではありますが内容を伝えました。
自殺というショッキングな内容や本編にも出てくる乃木将軍の殉死については、到底塾生たちからの理解は得られませんでした。
それはそうです。
時代が全く違うのですから。
明治と大正の移り変わる大きな時代の中で、夏目漱石が伝えたかったこと。
漱石は、エゴイズムと呼ばれる作品が多いですが、私はエゴイズムという言葉だけで説明することは到底できないと思います。
人の受け方は、もちろん人それぞれです。
今回の講義でも、様々な感想が得られました。
いくつか紹介します。
「人間の価値観は時代によって変わるが、人間の根底にあるこころは変わらないだろう。」
「時代が変われば人も変わるということ。」
「一つのできごとでも人によっては大きな影響を与えるということ。」
「人には様々な生き方があるということ。」
塾生たちの感想を見ていると、改めに人間の難しさを知ることができたような気がします。
後半は、こころに出てきた乃木希典を取り上げました。
中学でも習う日露戦争。
そこには、バルチック艦隊を沈めた東郷平八郎が登場します。
しかしあの時、旅順攻略のために203高地で失われた多くの日本人の命を忘れてはいけません。
その指揮を任されていた乃木希典。
彼もまた、日露戦争の英雄です。
しかし、残念ながら中学の教科書に載っていません。
その後の様々な歴史の移り変わりの中で、乃木希典の功績を讃えにくくなった現代において、これも難しい日本のひとつの問題点なのではと感じます。
ただ、乃木希典の生き方は見習うべきことが多いと思います。
乃木希典の残した言葉の中に次のようなものがあります。
「勉強忍耐は、才力智徳の種子なり」
意味は、耐えて勉強することが才能、知識、道徳を伸ばす基になるという意味です。
もっと簡単に考えると、つらい思いをしなければ成長はないということです。
この忍耐を第一に考えれば、学力や人としての道徳観を得られるのではないでしょうか。
塾生にもこの言葉を伝えてみました。
さて、いよいよ明日は今年最後の開校日です。
今年は、中学3年生と高校生を対象にお正月塾を開校します。
連休がなくなってしまいましたが、塾生第一です。
全力で指導していきます。