第47回 修養講義

一昨日、5月25日(日)に修養講義を実施しました。
今春から新しく入ってきた塾生を始め、卒業生(社会人・大学生)の参加もあり、多くの子たちと有意義な時間を共有することができました。

今回の講義内容は、「モラル」をテーマにした講義を行いました。
その中でまず取り上げたことは、スマホ等のデジタル端末との関わり合い方です。
2024年度の「青少年のインターネット利用環境実態調査」では、小学生の平均が224分、中学生の平均が302分という報告が上がっているようです。
中学生の302分には驚きました。
毎日5時間以上です。
学校の授業が50分×6限=300分なので、学校の勉強と同じ時間スマホに触れているということになります。
この時間も問題ですが、その内容にも注視する必要があると思います。

最近はインスタ等で、個々のモラルを疑うような内容の動画がアップされ大きくニュースで取り上げられることがあります。
例えば、バイトテロは典型的な一例だと思います。
またインスタでのイジメも社会問題化しています。
親の知らないところで、いつの間にか子どもがトラブルに巻き込まれてしまう可能性もあります。

私たち大人でもふと目に留まるショート動画。
10分20分の時間が気付かないうちに経過します。
子どもたちも多くが見ています。
そんなショート動画に紛れて、モラルを疑う動画も流れてきます。
その時に、子どもたちのモラルはどう形成されてしまうのか。
また、脳の状態がどうなっているのか?
私は教育に携わっているので、脳はできるだけ動かしてもらいたいと常日頃塾生に伝えています。
脳を動かすということは、どんなことでも疑問をもって考えてもらいたいということです。
勉強だけでなく、普段の生活の中で考える癖を付けることで、脳の活性化につながります。
ですが、多くのショート動画はその性質上、脳が何かを考えて見るというものではありません。
恐らく、脳は視覚的に見ているものの休眠に近い状態になっているのかもしれません。
そんな脳の状態の中、モラルを疑う動画を見たとしても良し悪しの判断ができるのか疑問です。
と言うか、良いか悪いかということも考えていないのかもしれません。
今日本の子どもたちの学力やモラルに関しては、低下傾向にあります。
その理由は、このような時間の使い方にも起因しているのではないでしょうか。

そこで今回の修養講義では、思考実験のような取り組みを実施しました。
答えがない問に対して、塾生にも考えてもらいました。
この思考実験、内容が面白かったのか、全員に楽しく取り組んでもらえました。
参考図書は、著者北村良子さんの思考実験ドリルです。
とても面白い内容なのでオススメです。

後半では、長い日本の歴史に触れ、どのようにして日本人が道徳心を養ってきたのかを考察してみました。
今回は、国民の修身という本を用いました。
修身とは、「身を修めること」を意味し、戦前の日本の小学校における科目の一つです。
最近では、この修身にまつわる書籍が多く出版されています。
戦前教育ですが、実際に内容に触れると人としての正しい道が書かれています。

最後は、井上毅を取り上げました。
明治維新後の日本の発展に大きな影響を与えた人物です。
特に憲法や教育勅語の起草に活躍しました。
井上毅は、憲法の草案で、日本は天皇のしらす国と記しました。
私はこの「治 (しら)ス」という言葉に対してとても美しさを感じます。
本来であれば、天皇が統治すると記しても問題はないと思うのですが、「治 (しら)ス」とは、国民と協力し合い国を治めるという意味です。
まさに日本の長きに渡る伝統的な政治姿勢が感じられます。

今回のテーマであった「モラル」。
参加してくれた塾生たちだけでなく私自身にも耳の痛い話だったのかもしれません。
ただ、多くの塾生が時間の使い方に対して、気付いたことが多かったようです。
良い悪いは別にして、意味のないショート動画を見ているという声が本当に多かったです。
今回の講義で、少しでも考えるということと、その中で良し悪しを判断してもらいたいと思います。